寄稿 ドロ舟日本の行方


投資の鬼十則

質問 FXをやり始めたら気になって睡眠時間が減ってだめでした。株式投資にも挑戦してみたのですが、自分が買ったら下がり、売ったら上がる気がして、いまひとつ良くわかりません。これを守れば投資で失敗しない法則のようなものはあるのでしょうか?(45才、自由業)



質問者さんは「ならぬことはならぬものです」で知られる会津藩の「什の掟(じゅうのおきて)」や、某有名広告代理店の“鬼十則”などをイメージしているのだろう。投資にも鉄則といえる十則がある…と目にしたことがあるかもしれないが記憶にはないから、役に立つかどうかは定かではない。だれにも一家言あるだろうから、千差万別、玉石混交といったところかもしれない。
 とはいえ、あえて挙げるなら、おそらく一番イメージに近いのは投資の神様と言われるウォーレン・バフェット氏の次の2つのルールだろう。

Rule No.1 is never lose money.
(訳)第一のルールは決して損をしないことだ。

Rule No.2 is never forget rule number one."
(訳)第二のルールは、第一のルールを決して忘れないことだ。


「損をしない」とは、もちろん100%はないから、できるだけ損失を避けるということだ。そのためにはどうすべきか死ぬ気になって考えることになるし、いつも自分の前提が間違っていないかどうかアンテナを張り巡らし、世界経済のゲームのルールが変わりはしないか分析する、そして最も大事なのが行動する、といった一連の作業につながる。また、最初はそれができても、勝ち始めれば有頂天になって大きなリスクを採り、負け続ければ自信をなくしてうなだれて投資のことを考えることさえ止めてしまうのが普通の人だ。だからこそ、バフェット氏の2つのルールは“深い”のである。

しかしながら、多くの方が知りたいのはもっと具体的で誰が聞いても分かるアドバイスだろう。突き詰めて言えば、損をしないで、あわよくば大儲けできる方法だ。
そこで、投資の鬼十則を作ってみた。


投資の鬼十則

1. 投資アイデアは自ら確認・納得してから用いるべきだ。他人の意見を鵜呑みにしてはならない。

2. 投資とは、先を読んで仕掛け、待ち伏せるべき性格のもので、ほったらかしにしておけば腐る。

3. 大きな利益を狙え。コツコツ、チマチマ稼ぎを積み上げても、ガツンと食らって負ける。

4. 人の儲け話を聞いてもあせるな。投資機会を全部取れるわけではないし、ほどほど儲かれば良しとすることで、平常心を保つ投資の胆力が鍛えられる。

5. 負けだしたら放せ、逃げろ。はじめの皮算用と買値にこだわるな。

6. 自分が相場に影響を与えられると勘違いするな。謙虚でいるのと自惚れるのでは、相場に生き残ることができる確率に天地のひらきができる。

7. 10年周期の相場サイクルを考えろ。長期の相場観を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。

8. 余裕資金を持て、金が切れると投資だけでなく日常の生活にも、覇気も冴えも、そして生気すらがなくなる。

9. 頭も資金も常に全回転ではカネも体力も持たない。雑音を無視して意識して休め。ボーっとした頭で投資判断をしてはならぬ、投資とはそのようなものだ。

10. 人の逆ばかりを狙うな。順張りは投資の基本、勝利の方程式だ、でないと君は負け続きの曲がり屋の御大に祭り上げられる。

(念のため付言すると、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではない。)


土居雅紹 (どいまさつぐ)氏
土居雅紹 (どいまさつぐ)氏
eワラント証券株式会社
チーフ・オペレーティング・オフィサー
CFA協会認定証券アナリスト(CFA)
(社)証券アナリスト協会検定会員(CMA)

ラジオNIKKEI「ザ・マネー」月曜日のレギュラーコメンテーター。月刊FX攻略、Moneyzine、日刊SPA、ロイターなどに寄稿。著書に『勝ち抜け! サバイバル投資術』(実業之日本社)『eワラント・ポケット株オフィシャルガイド』(翔泳社、共著)など。